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飲食店のデリバリーは本当に儲かる? 売上・手数料・人件費だけでは見えない「デリバリーの価値」

「飲食店のデリバリーは儲かるのか?」

これは、これから飲食店を始める人だけでなく、すでに店舗を経営している人にとっても気になる問題だと思います。

結論から言えば、

デリバリーだから儲かる、デリバリーだから儲からない、とは言えません。

大切なのは、

「そのデリバリー売上が、どんな構造で生まれているのか」

を見ることです。

売上だけを見ると、デリバリーは魅力的です。

店内の席数に限界があっても、注文を受けられる。

営業時間外にも販売機会を作れる。

商圏を店舗の周辺から広げられる。

自分の店を知らなかった人にも商品を届けられる。

一方で、

プラットフォームの手数料。

食材原価。

容器代。

人件費。

調理スペース。

注文対応。

キャンセルや廃棄。

値引きや販促。

こうしたコストも発生します。

だから、

「デリバリーで月100万円売れた」

だけでは、経営としては何も判断できません。


デリバリーは「もう一つの店舗」ではない

私はデリバリーを始めるとき、

「店舗の売上を、もう一つ増やす」

くらいに考えていました。

でも、実際には少し違います。

店内飲食とデリバリーでは、

お客さんとの接点が違います。

店内なら、

店の場所
↓
外観
↓
入店
↓
接客
↓
料理
↓
店内体験
↓
会計

という流れがあります。

デリバリーでは、

アプリ
↓
写真・商品名・価格
↓
レビュー
↓
注文
↓
調理
↓
配達
↓
商品

という流れになります。

つまり、

お客さんが店を見る前に、プラットフォーム上で比較される

ことになります。

この違いは非常に大きい。


まず「デリバリーの売上」を分解する

たとえば、デリバリーで月100万円売れたとします。

「100万円売れた!」

だけではなく、

次のように分解してみます。

売上

100万円

↓

プラットフォーム関連費用

手数料など

↓

原価

食材費

↓

容器・包装

容器、袋、カトラリーなど

↓

人件費

調理・盛り付け・注文対応など

↓

その他

値引き、販促費、追加設備など

↓

残った利益

ここまで見て初めて、

「このデリバリー売上は儲かっているのか?」

を考えられます。

なお、プラットフォームの料金体系はサービス・契約・地域などによって異なります。たとえばUber Eatsでも、利用者側には配達手数料やサービス料など複数の料金があり、店舗側の契約条件も一律ではありません。したがって、ネット上の「手数料は○%」という数字だけで自店の採算を判断するのは危険です。


重要なのは「手数料が高いか」ではない

デリバリーについて話すと、

「手数料が高い」

という話になりがちです。

もちろん、これは重要です。

しかし、私はそれだけで判断しないほうがいいと思っています。

例えば、

手数料が高いからやめる。

ではなく、

「その手数料を払ってでも得たいものは何か?」

と考えてみる。

たとえば、

  • 店を知らない人に知ってもらえる
  • 新規顧客を獲得できる
  • 店舗の空いている時間を使える
  • 店内では届かない地域に販売できる
  • 人気商品のテストができる
  • 売れる時間帯を把握できる
  • どの商品が選ばれるかデータが取れる

などです。

つまり、

デリバリーの手数料は「販売コスト」であると同時に、「顧客接点を買うコスト」と考えられる場合もある。

ここがポイントです。


私自身、デリバリーには可能性を感じていた

私自身も飲食店でデリバリーをかなり活用しました。

実際、自店ではデリバリーによって売上を作ることができました。

ただ、ここで重要なのは、

「デリバリーをやれば売れる」

という話ではありません。

私がデリバリーを使って感じたのは、

「店に来てもらう」以外の方法で、自分の店を知ってもらえる

ということでした。

店舗の場合、お客さんは基本的に店の周辺にいます。

でもデリバリーなら、

「近くにあるけど、この店の存在を知らなかった」

という人にも商品を届けられる。

これは小さな店にとって、かなり大きい。

なぜなら、小さな店には大手チェーンのような知名度がないからです。


「売る場所」として使うのか、「知ってもらう場所」として使うのか

ここで、前の記事の「良い売上・悪い売上」の話につながります。

デリバリーを、

「料理を届けて、その注文で利益を出す場所」

とだけ考えるのか。

それとも、

「自分の店を知らない人に、商品を試してもらう接点」

として考えるのか。

これは大きな違いです。

もちろん、後者だからといって赤字でいいわけではありません。

ここは非常に重要です。

「将来の顧客獲得になるから、今は赤字でもいい」

と簡単に考えるのは危険です。

小さな店には資金繰りがあります。

毎月現金が出ていく以上、

まず一つの注文単位で最低限の採算が取れていること

が必要です。

そのうえで、

「この売上が次の来店につながっているか?」

を見る。

この順番が重要です。


デリバリーから店舗へ来てもらえるのか?

ここは、デリバリーをやるならぜひ測ってほしいところです。

例えば、

デリバリーで初めて商品を買った人が、

その後、

実店舗に来てくれたか?

ということです。

もし、

デリバリー
↓
商品を知る
↓
店を知る
↓
実店舗へ来店
↓
再来店

という流れが作れれば、

デリバリーは単なる「宅配売上」ではありません。

店舗の新規顧客獲得チャネル

になります。

逆に、

デリバリーで1000人に売った。

でも、誰一人として店のことを覚えていない。

プラットフォーム上でしか接点がない。

注文を止めたら売上も止まる。

という状態なら、

売上は作れていても、自分の事業に顧客が蓄積しているとは言いにくい。

ここはかなり重要な違いです。


ただし、ここには「プラットフォーム依存」という問題がある

デリバリーの大きな特徴は、

お客さんとの接点をプラットフォームに借りている

ことです。

これは便利です。

自分でアプリを作らなくていい。

決済システムを作らなくていい。

配達員を自分で雇わなくていい。

集客力のあるプラットフォームに参加できる。

小さな店にとって、これは非常に大きなメリットです。

だから、

「プラットフォームを使うな」

という話ではありません。

むしろ積極的に使ったほうがいい場合もあります。

問題は、

「プラットフォームがなければ売れない店」になってしまうこと

です。


ここで「下請け構造」の話につながる

前の記事で、

「その売上は、誰の力で生まれているのか?」

という話をしました。

デリバリーもまったく同じです。

例えば、

プラットフォームが顧客を集める
↓
プラットフォーム上で商品を表示する
↓
プラットフォームが注文を受ける
↓
プラットフォーム側の仕組みで配達する
↓
店は商品を作る

という構造なら、

店は、

「商品を作る」という非常に重要な役割を担っている一方で、顧客との接点のかなりの部分をプラットフォームに依存している

ことになります。

これ自体は悪くありません。

ただし、

売上が増えたとき、自分の店に何が蓄積されるのか?

を考える必要があります。


デリバリーで「残るもの」を増やす

例えば、デリバリーを使って、

  • 売れる商品が分かった
  • 人気の価格帯が分かった
  • 注文時間帯が分かった
  • 商圏が分かった
  • 新規顧客が増えた
  • 実店舗への来店が増えた
  • 商品開発のヒントが得られた
  • 店の認知が上がった

のであれば、

デリバリーによって、

「売上」だけではなく「経営資産」が増えている

と言えます。

これは非常に価値があります。

逆に、

  • 手数料を払い
  • 原価をかけ
  • 人を動かし
  • 注文を処理し
  • 商品を届けて

最終的に利益がほとんど残らず、

さらに、

顧客もブランドもデータも自社に蓄積されない。

という状態なら、

売上が大きくても、一度立ち止まって考える必要があります。


「デリバリーで儲ける」だけではなく「デリバリーを使って何を作るか」

私はここが一番重要だと思っています。

デリバリーを、

一つの収益事業

として見るだけではなく、

自分の店を強くするための販売チャネル

として見る。

例えば、

① 利益を取る

注文単位で採算を合わせる。

↓

② 顧客を知る

どんな人が買っているかを見る。

↓

③ 商品を磨く

何が売れるのかを見る。

↓

④ 店を知ってもらう

「この店、こんな商品を作っているんだ」と認知してもらう。

↓

⑤ 実店舗につなげる

可能なら店舗利用につなげる。

↓

⑥ 自社のブランドを強くする

「○○といえば、この店」という状態を作る。

こうなれば、

デリバリーが自社事業の一部として機能している

と言えます。


逆に「悪いデリバリー売上」とは?

私は、次のような状態には注意したいと思います。

売上は大きいが、

  • 手数料を引くと利益がほとんどない
  • 値引きしないと注文が入らない
  • 店舗スタッフの負担が大きい
  • 店内営業を圧迫している
  • 店主の労働時間だけ増えている
  • 注文を止めると売上がなくなる
  • 顧客との関係がプラットフォーム内で完結する
  • 自社ブランドが育っていない
  • 実店舗への来店につながっていない

という場合です。

これは、

「売上が悪い」のではありません。

「売上の構造を見直す必要がある」

ということです。


では、どんなデリバリーなら良いのか?

一つの考え方として、

「注文単位の採算」

に加えて、

「事業全体への貢献」

を見ることです。

例えば、

見る項目質問
売上いくら売れた?
原価いくらかかった?
手数料いくら払った?
人件費何時間必要だった?
容器等いくらかかった?
利益いくら残った?
新規顧客初めての顧客は何人?
リピート再注文は何人?
店舗送客実店舗に来た人は?
商品何が売れた?
認知店を知ってもらえたか?
資産自社に何が蓄積された?

この最後の部分まで見る。


デリバリーは「悪」でも「正解」でもない

デリバリーについて、

「手数料が高いからやめる」

「売上が取れるから絶対やる」

という二択にする必要はありません。

大切なのは、

自分の店にとって、デリバリーが何の役割を持っているのか

を決めることです。

例えば、

「店舗が暇な時間帯を埋めるため」

なのか。

「商圏を広げるため」

なのか。

「新規顧客を獲得するため」

なのか。

「新商品をテストするため」

なのか。

「デリバリーそのものを収益の柱にするため」

なのか。

目的によって、

商品設計も、

価格も、

営業時間も、

広告の使い方も、

見るべき数字も変わります。


小さな店だからこそ、デリバリーを「使う側」になる

ここまで考えると、デリバリーに対する見方も変わります。

プラットフォームに売上をもらう。

のではなく、

「プラットフォームを、自分の事業のためにどう使うか」

と考える。

これはデリバリーに限りません。

グルメサイトも、

SNSも、

Google検索も、

広告も、

FCも、

ITサービスも同じです。

便利な外部サービスを使う。

でも、

自分の事業の核心部分まで外部に預けない。

これが、小さな店が長く続けるうえで重要なのではないかと思います。


最後に、一つだけ確認してほしい

もし今、デリバリーをやっているなら、

「月いくら売れている?」

だけではなく、

次の質問をしてみてください。

「このデリバリー売上がなくなったら、自分の店には何が残るだろう?」

商品開発のノウハウが残る。

人気商品が分かる。

新規顧客が増える。

実店舗のお客さんが増える。

ブランドが知られる。

そうなら、デリバリーには意味があります。

でも、

何も残らない。

売上だけが消える。

そうなら、

その売上は本当に自分の店を強くしていたのか、

一度考えてみる必要があります。


デリバリーの目的は「売上を増やすこと」ではない

デリバリーは、確かに売上を増やす手段です。

でも、

売上を増やすことだけを目的にすると、また同じ問題に戻ってしまいます。

売上が増える。

でも忙しくなる。

手数料が増える。

人件費が増える。

原価が増える。

そして利益が残らない。

これでは、前の記事で考えた「悪い売上」と同じです。

だから、

デリバリーでいくら売れたか。

ではなく、

デリバリーによって、自分の店は何を得たのか。

を見る。

そして、

利益が残る。

顧客が増える。

ブランドが強くなる。

商品が磨かれる。

自社の集客力が強くなる。

そんな状態を作る。

それができれば、

デリバリーは単なる「宅配サービス」ではなく、

小さな店が自分の事業を強くするための一つの経営ツール

になります。

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